タイトル
東南アジア政治へのアプローチ―君主制・統治・社会経済
著者・編者
中西嘉宏、永井史男、河野元子(編)
総ページ数
274ページ
出版社・出版年月
晃洋書房・2025年3月
リンク
https://www.koyoshobo.co.jp/book/b657815.html
概要
(晃洋書房のHPより引用)
地域研究から迫る東南アジア政治の謎
いまや中国・インドに並ぶ世界の成長エンジン、東南アジア。この地域の政治は多様で複雑、そして多くの謎に満ちている。日本から近いのにどこか遠く感じる東南アジアの本質を知るため、深い現地理解に根ざした方法で君主制、統治、社会経済を論じる。
(目次)
第Ⅰ部 君主制論
第1章 共和国のなかの君主制
―インドネシア・ジョグジャカルタの「スルタンによる統治」と現代の王権概念―
1 ジョグジャカルタの「地方君主制」
2 スハルト政権期(1967-1998)のジョグジャカルタのスルタンと政治
3 スハルト体制末期―ハメンクブウォノ10世の社会・政治的影響力の拡大―
4 民主化後の「スルタンによる統治」の危機と脱却
5 ジョグジャカルタの人々から見た「スルタンによる統治」
6 現代の王室と王権概念を分析する新たな視角
第2章 試される君主制と民主主義
―マレーシア・ムヒディン政権期の非常事態宣言をめぐる国王の対応―
1 君主制と民主主義をマレーシアから考える
2 マレーシアの立憲君主制
3 マレーシアにおける非常事態宣言
4 ムヒディン政権の課題と政権運営
5 ムヒディン政権期の非常事態宣言をめぐる政治過程
6 ムヒディン政権期の非常事態宣言に見る君主制と民主主義
第3章 プリッサダーン親王(1852-1935)略伝
―絶対君主期タイにおける「立憲主義者」の肖像―
1 「立憲主義者」の復権
2 プリッサダーン親王の数奇な生涯
3 垣間見える近代的個人の姿
第4章 「タイ的」なものの残存か刷新か
―「不敬罪」の存在意義―
1 「不敬罪」とは何か
2 不敬罪の設立と変遷
3 複雑で難しい不敬罪
4 不敬罪は単なる法にあらず?
第Ⅱ部 統治論
第5章 ナショナリズムの数値化の試み
―1910-20年代シャム(タイ)のボーイスカウトに注目して―
1 国王に忠誠を誓う子供
2 ルークスアの人数論
3 タイ教育史におけるルークスア
4 授業としてのルークスア、課外活動としてのルークスア
5 『報告書』におけるルークスアの人数
6 ネーションを数として把握すること
第6章 県警察長ウー・ティンの供述
―脱植民地期ミャンマーにおける国家危機の実像―
1 供述調書からみる
2 脱植民地直後の国家危機
3 今そこにある危機
4 秩序の動揺
5 危機史からみえる国家の構造、そして現代
第7章 ブラックボックスとしてのシャム
―戦間期アジアにおける共産主義運動とその取り締まりの観点から―
1 東南アジア地域の植民地抵抗運動
2 東南アジア地域の警察史
3 シャムにおける共産主義運動史
4 シャムにおける共産主義運動の取り締まり
5 ブラックボックスとしてのシャム
第8章 タイの国家、官僚制と恩顧主義
1 タイ的文脈における恩顧主義研究
2 既存のタイ的恩顧主義研究批判
3 タイ国における官僚制、国家そして社会
4 近代国家と恩顧主義
6 タイ政治の民主化は果たして可能なのか
第9章 タイ地方政治研究の射程
―制度論と政治社会学を超えて―
1 カムナン・村長が内務省に押し掛ける
2 分権化するタイ、自律性を求める地方
3 流動する「都市」と「農村」
4 二つの「二元論」を超えて
第Ⅲ部 社会経済論
第10章 タイの若者たちを理解する
―期待、願望、そして失望―
1 政治を変える若者たち
2 調査対象のサンプリングとデータ収集方法
3 メディアの利用
4 教育・雇用・移民に関する考え方
5 タイの若者たちは、自分たちの生活やタイの政治に満足しているのだろうか?
6 タイの若者と政治―関心、参加、情報―
7 タイの若者とその政治的価値観
8 溝を埋める
第11章 幻の米「ガーデン・ライス」
―戦前期タイ米経済の発展と米の品質―
1 幻の米「ガーデン・ライス」
2 戦前期タイ米輸出経済発展は、従来、どのように語られて来たか?
3 ガーデン・ライスとは?
4 ガーデン・ライス研究の意義と研究上の限界
5 ガーデン・ライスの輸出が可能となった要因
6 タイ高級米の系譜―ガーデン・ライスとジャスミン・ライスの連続性と非連続性―
7 モノから考える地域研究
第12章 タイ経済ナショナリズム論の再考
―タイ米穀社の事例から―
1 タイ経済ナショナリズム期の官僚と華僑資本家
2 タイ米穀社(TRC)設立
3 コメ輸出枠確保への布石
4 華僑資本の対応と新たな官民関係の拡大
第13章 マレーシア、タイにおける天然ゴム産業の発展
―「中所得国の罠」からの脱出をめざして―
1 「中所得国の罠」を再考する
2 天然ゴム産業はいかに発展してきたのか
3 マレーシアにおける天然ゴム産業の高度化―国家の成長戦略を超えて―
4 タイにおける天然ゴム産業の高度化―ニッチをめざして―
5 天然ゴム製造業にみる新たな経済成長の可能性と課題